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服部希美
心理カウンセラー/講師
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不満を溜め込みやすい優しいパートナーと絆を深めるヒント

たとえば、こんな彼。

彼はとても優しくて、いつも私のことを優先してくれる温厚な人。
私が不安がって泣きついた時にも「大丈夫だよ」って受け止めてくれました。

そんな日々が続き、うまくいっていると思っていたある日。
彼から「別れたい」といきなり切り出されてびっくり。

まさに、青天の霹靂。

いったいなにが気に障ったのか、どんなことが嫌だったのか
彼に教えて欲しいとお願いしても、聞く耳を持ってくれず、

「もう限界なんだ。これから何をしたって無理」
「別れたい理由に気づいていないことが、そもそも、無理だと思う」
「本当に、君には申し訳ない・・」

あの優しかった彼とは思えないほど
バッサリと冷たい言葉を言われてしまい、お別れすることになりました。

自分としては、一体何が悪かったのか、思い返せば山ほど理由が浮かぶような・・
「いやでも、そのぐらいのことで?」「あのとき、平気そうにしていたよね」
そんなことも感じたりして・・気持ちの整理がつきません。

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
カウンセリングサービス 服部希美です。

さてさて、今日はパートナーシップについて。

上記の例は私が創作したものですが・・
カウンセリングの中で、このようなご相談をお聞きすることは少なくありません。

自分のことより恋人を優先したり
あんまり怒らない優しい人だったはずなのに
ある日、急に怒り出したり、態度が一変し・・その時にはもう取り付くすべがない。

こういう失恋を経験すると、こういうことを感じちゃったりしませんか?

「お別れに至っちゃうぐらい不満を溜め込むぐらいなら、早く言ってくれたらいいのに・・。」
「私だって、あなたのことを優しくしたかったのにな・・。」

パートナーが優しい人だって分かっているからこそ。
お互いが我慢し合わなくてもいいお付き合いを、長く続けていきたいと望む人は多いと思います。

今日は、そんなパターンをお持ちの方と「絆」を作っていくにはどうしたらいいのか?そんなヒントを、書いてみたいと思います。

もちろん、人はそれぞれ違いますので、ケースバイケースではありますが、参考になればと思います。

目次

どうしてそんなに溜め込んでしまうの?

たとえば・・
こういった「いきなり限界が来て、恋人ごと切り離してしまうタイプ」の方は

人の迷惑になりたくない気持ちが強すぎたり
自分の意見を伝えたり、断ったりすることは「人をガッカリさせたり、傷つけることだ」という思い込みがあったりすることがあります。

すると、優しい人であるがゆえに、自分が怒りや不満を感じた時に
「これは人を傷つけるものだ」と感じてしまい、
「内に溜め込んでしまう」ことが多くなってしまうようなのですね。

たとえばですが・・
私たち人間は誰だって、日常生活を過ごしている中で、不満やストレスを感じますよね。
いくらパートナーといえど、価値観はひとそれぞれ違いますし
どれほどいっしょにいるパートナーでも、すれ違いや誤解は発生します。

パートナーシップだけでなく、ありとあらゆる場面で、
自分の思い通りにいかないことなんて、やまほどあります。

そういった、なにか不満を感じた時、
意見が違うなと思った時、こうしたいと思った直後というのは
私たちの感じている不満や怒り、ストレスの大きさは、けっこう小さくて些細なことだったりします。

そんな小さい状態のときに、相手に自分の思うことを表現することができれば
「ああ、そうなのね」「わかったよー」で済みますし、
お互い風通しの良い、スッキリ気持ちのいいコミュニケーションになるのですが

周りを気遣ったり、人と争いを避けたいという思いがあることで
「このぐらいのこと、自分が我慢しておけばいいか」なんて飲み込んでしまい
顔にも出さず、表現もせず、自分の中にどんどんと溜め込んでいってしまうみたいなのです。

・不満を感じた時や、意見がある時にこそ「言わない」
・辛いなと思っていても「悟られないようにする」
・心配して声をかけても「べつに平気です」と言っちゃったりする・・。

しかも、その隠し方は年季が入っているので
周りから見ても、ぜんぜん分からないぐらい上手に隠せちゃったりするわけです^^;

その結果、不満を1人で抱え込んでいることに気づいてもらえず
辛くなってくると、今度はだんだんと、怒りが湧いてきちゃったりして・・
内心「どうして助けてくれないわけ?」「ふつう、わかるでしょ」って感じちゃったり

自分の気持ちを表現していないことで、未消化に終わっているので
「そういえばあのとき、あんなことを言われた・・」「そういえば、あの時も」
小さなことを「何年も何年も根にもつ」という形で、繰り返し、繰り返し、怒りを増幅させていきやすく

大きな怒りを持ちきれなくなった途端、まるで別人のように怒り出したり
「あなたは私をわかってくれなかった」とバッサリ相手を切り離してしまうということが、起きてしまうみたいなんですね・・。

そして、こういうタイプの方は、自分に対してもとても厳しいことが多いんです。

厳しいというか「うまくいかなかったことは、全て自分のせい。自分が悪いんだ」という、思い込みがあったりするので

過去のやらかしたこと、うまくいかなかったことを、
我慢しきれなかった自分を、何度も何度も何度も思い出しては、自分を責める・・みたいなこともやっていたりします。

そんな繰り返しの中・・

本当は、誰よりも
人に優しくありたい、おおらかでありたいと願っている人のはずなのに

内心、いつもイライラしていたり、
ときに、周りに不本意な怒りをぶつけてしまう。
そしてさらに、そんな自分を誰よりも自分が罰していく。

こういう悲しい繰り返しを経験していることが、多かったりするようです。

優しさや理解でつながる

で、ですね・・。
きっと、こういうタイプのパートナーを好きになる方というのはね
パートナーと同じぐらい、平和を望む、優しい方じゃないかなと思います。

もらった優しさの何倍も、私もパートナーに優しさをあげたい。
あなたに、そんな優しい思いがあるからこそ

「どうして伝えてくれないんだろう」
「どうして、そういう言い方しか出来ないんだろう」

そんな割り切れない気持ちを生み出しているのだと思うのですよね。

もしもあなたのパートナーが、こういうタイプの場合はね
あなたも持っている、その優しさで、
まず「パートナーなりに、一生懸命、周りの人を大事にしてきたのかもしれないな」と思ってみるといいかもしれません。

「そんなやり方じゃダメだよ」ではなくてね。
「そうやって、今日まで人を愛そうとしてきたのかな」ってね。

そして、人のことは大事に思えるのに、自分のことが何より嫌い。
人に優しくしたいと思うのに、腹が立つ自分を、誰よりも罰しながら
「お互いの気持ちを素直に伝えても、争いにならない関係」を、誰よりも望んできた人であること。

そして、自分のことも、パートナーなりに必死に大切にしたいと思っていて、こうなっているのかもしれない。
そんなふうに思うところから、はじめてみるといいかもしれません。

というのもですねー。

「不満があったら言ってね」「なんでも言ってくれていいからね」「いま、どんな気持ち?」と伝えたところで、内に溜め込んでしまうタイプは、なかなか言葉にしてはくれない可能性があるのですよね^^;

内側に向きやすいタイプは、自分の感情を言葉として表出することがそもそも苦手だったりしますし
自分の気持ちを伝えることが悪いこと、迷惑をかけること、人を傷つけることだと誤解していて「私さえ我慢しておけばいい」と思っていたりしますから

付き合っていく上で、つい限界まで我慢して爆発したり
「上手に言葉にならない」というケースもあると思うのです。

たとえ言えたとしても、必要以上に強い口調で言っちゃうこともあるかもしれません。

遠慮して、遠慮して・・とっても回りくどくなり「けっきょく、何が言いたいわけ?」って言いたくなっちゃう。こういうこともね、あると思うのです。

そのときにね、この「理解」というか、前提があるのとないのでは、ぜんぜん心の余裕が変わってくるんです。

「そうかー。そんな不満すら、言えなくて我慢してきた人なんだな」
「そういう言い方しか出来ないぐらい、分かってもらえないと思ってきたのかな」
「私と争いたくないって思ってくれてたのかな」
「そんなあなたが、めちゃくちゃ優しい人だって知ってるよ」

そんなふうにね、まずは「理解」につなげていくと
目の前で起きていることだけにとらわれずにすみ、自分の心にも余裕ができますし、
あなたが醸し出す雰囲気、つまり「オーラ」みたいなものが、とても柔らかく、大きく包み込む感じでパートナーにに伝わるようになったりするのです。

すると、パートナーの心の中に
「この人は、何か違うな」「解ろうとしてくれているのかもな」そんなふうに、思いが溶け込んでいったりして
すこしづつ警戒が解けていって、不満を早めに伝えてくれるようになってきたり、

自分もパートナーも我慢をしなくても済む方法はないだろうか
気持ちを素直に、そして、できるだけ、早く・軽く・ラクに伝え合える方法はないだろうか
そんなことをいっしょに考えて、ふたりで練習していくことができるようになってくることも多いようです。

いきなりは難しいかもしれませんが、ふたりのペースで。
「不満を伝え合うことは”悪いこと”としてではなく、ふたりが仲良くしていくために”必要なこと”として、安心して伝え合える環境を作ること」ができるといいですね^^

お互いの気持ちを気軽に伝え合える機会を定期的に作る

ちなみに、私の友人の仲良し夫婦の中に
(ブログでの掲載の許可をいただいております)
「夫婦で交換日記をしている」という人がいました。

面と向かっては言いにくいことや、忘れないでいてほしい用件、
私はこういうものが好き、こういうことが苦手、であったり、お願いやリクエスト。

「今日は、こんなことがあったよ」そんな日々のことや気持ちをノートに書いていこう、という交換日記。

「かならず返事を書いてね」「いい返事を書いてね」と要求しちゃうと負担が大きくなってしまうので「OKマーク」や「花丸」をつけるだけでもOK。
そして、相手の書いたことは否定せず「そうなんだね」とまず、受け止める。

そんなカンタンなルールの交換日記のおかげで、
それまでの、不満を感じると「だんまり」して、自室にこもってしまったり
どちらかが不機嫌なままで一緒に過ごす、ということが減り、

思った時に、ポンと自分の気持ちを伝えられるようになったり、
相手から言われたことが「自分を否定している」と感じることが減りました、とおっしゃっていました。

交換日記を通して、感情の整理ができたり
「自分の気持ちを伝えても、関係は壊れないんだ」
「こういうふうに伝えたらいいんだ」と、だんだんつかめていったわけですね。

べつに、交換日記でなくてもいいと思いますし
(そもそも、ご夫婦とかじゃないとやりにくいでしょうしね^^;)

ふたりで工夫するといいかなと思うのですが、ポイントは

「素直にさくっと伝えた方が、傷つけ合わずに済むよ」ということと
「そういう不満ほど、ふたりで考えていこうね」ということを体感していくこと。

つまり、2人にとって2人の関係が「安心できる場所」になるよう、
表現し合う機会を何かしら作っていくことが、この状況を抜け出すきっかけになることも多いようです。

もちろん、相手のあることですからね。
うまくいかないこともあるかと思いますが、よかったら参考にしてみてくださいね。

最後に。不満を溜め込みやすい人ですというあなたへ

最後に「自分がまさしく、内側に不満を溜め込むタイプです」という方に向けて書いてみようかと思うのですが・・
これまで、けっこうしんどかったのではないでしょうか。

誰かを思う気持ちが強いがあまり

人によっては、無理をしすぎて体調を崩しやすかったり
人を信じたくない、と心を閉じてしまったり、
定期的に人を切り離して、孤独になってしまったり、

表面的には、うまくいっているようにみえる分
「私の辛さを誰もわかってくれない」「わかってくれるわけがない」「私だけが辛い」
そんなふうに感じてしまうような日常を、過ごされてきた方も多いかもしれませんね。

辛いと感じることすら、みじめ。
馬鹿にしないで、そんなふうに自立して生きてこられた方も多いかもしれません。

でも、そんなあなたが・・・誰かを信頼してみようと思ったこと。
いっしょに生きていきたいなと思えるような人に出会えたことは、本当にすごいことだと思います。
ここまで、あなたが頑張ってきたということでもありますね。

ここからは「ふたりで生きていく」フェーズ。
パートナーは、そんなあなたといい関係を築きたいと願ってくれる人です。
ひとりで抱えるやり方以外の方法も、すこしづつ選んでみてくださいね。

抱え込んでしまったいままでの怒りや、
日々たまってしまう不満は、安全な形で整えてあげながら
すこしづつ、自己表現すること。言葉にして伝えるということを、あなたなりにやってみていただけたらなと思いますよ。

たとえば

「私、不満を感じちゃうと、うまく伝えられなくて、ひとりでプンプン怒っちゃう癖があるんだよね。
でも、あなたとお互いに我慢しない関係を築いていきたいと思うから、きちんと伝えていこうと思う。
上手に言葉にできなかったらごめんね。理解してもらえると嬉しいし、あなたも、私になんでも伝えてね」

まずは、そんなふうに伝えておくのもいいかもしれませんね。
あなたなりの方法で、ぜひ、パートナーに気持ちを伝えてみてくださいね。
また違う世界が見えてくるかもしれませんよ。

「いきなり好きな人相手に自己開示するのは難しすぎる」
「あまりに言葉にしてこなさすぎて、うまく話せない」
「自分が感じていることすら、分からなくなっています」
「いままでの怒りを、まずはおろしていきたい」

そんな方は、カウンセリングもどうぞ。
心優しきあなたの、参考になれば幸いです。

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